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MBA出願者減少をどう考えるべきか。

MBA出願者が減ってきている、と言う話を耳にすることがあります。

最近のいくつかの海外ビジネス雑誌の記事等によると、 MBA出願者が減少していきていることで、MBAの需要は以前に比べ緩やかになっているとも書かれています。

MBA出願者にとって、MBAはいまでもキャリア形成のための魅力ある投資先と言えるのでしょうか。

実は「MBA人気は下降している」と言うような記事は過去に何度か討論されている内容でもあります。

 

点矢印画像1985年、ウォールストリート・ジャーナルにおいて、「何人かの教育者によると、アメリカ国内にある約600のビジネススクールのうち、25%が閉校せざるをえなくなるだろう。」

 

点矢印画像1993年のニューヨーク・タイムズ紙のヘッドラインでは、「MBAの価値そのものが疑惑の渦中にある。ビジネススクールがピンチである。」

 

点矢印画像2005年のビジネスウィークでは「トップMBAプログラムへの出願者は、1998年に比べ30%ほど減少している。中堅MBAプログラムへの出願者においては50%以上の現象が見られる。」

点矢印画像2011年9月のウォールストリート・ジャーナルにおいて、フルタイムのMBAプログラムへの出願者は前年に比べ平均して9.9%減少している。この出願者減少の傾向は3年連続で続いている。」

 

このように過去20年以上にわたり、MBA出願者の減少を扱った記事が出ています。

 

なぜでしょうか。MBA出願者の減少は、投資先としての費用対効果に懸念があるからなのでしょうか。

 

■大学院ビジネス系修士号との比較

その前に、MBAだけではなく大学院の他のビジネス系修士号の出願者数の傾向を見てみましょう。

実は、アメリカにおいては修士号の学位数は増加傾向にあるのです。1970年にはアメリカの大学が提供する修士号の数は26,000学位であったのに対し、2009年にはなんと168,000学位にまで増加しています。

 

これらのビジネス系修士号は、主にMaster of Finance、Maser of Accounting、Master of Management、Master of Marketingなど、各ビジネスの専門分野に特化した学位に人気があるようです。

これらはMBAに比べ学費が安く社会人経験が不要のことから、若い学生たちを中心として、最近人気のある学位として出願者が増加しています。

 

その一方で、MBAはこれらのビジネス系修士号に比べ、会社全体を動かすためのGeneral managementとしての要素が多く含まれており、ファイナンス、アカウンティング、マーケティング、組織論、人材戦略、経営戦略など、会社を経営するあらゆるノウハウを広く追求しているのが特徴といえます。

 

MBAの費用対効果はどうなのか

MBAの中でも特に人気があるのは、ファイナンシャル・コンセントレーション(MBAの中でも特にファイナンスに集中したカリキュラム)のようです。

アメリカのビジネス雑誌、フォーブス誌によれば、卒業後の就職活動状況において、MBAの学生はMBA以外のビジネス系修士号の学生に比べ、比較的短期間で転職に成功している調査結果が出ています。

またMBAの学生は、入学前に比べ年収が約50%アップしている傾向も報告されています。また、MBAホルダーは平均して3.5年で学費を回収しており、MBA以外の修士号学生に比べ、短い期間で回収できていることがわかっています。

 

その理由としては、他のビジネス経営修士号の学生に比べ、MBAをホルダーはビジネスのあらゆる状況においてマルチな能力を発揮している、そして会社側もそれを期待しているということに尽きるでしょう。

 

前述の通り、MBAで学ぶ内容は、ファイナンス、アカウンティング、マーケティングを始め、組織論、人材戦略、経営戦略会社を経営するために必要な知識をすべてカバーしています。それがMBAホルダーと他の一般学生との大きな違いです。

 

例えば、MBAホルダーは、自社の過去の成績を財務諸表から読み取り、そこから将来の売り上げにどうつなげるかなどの販売戦略、商品戦略を策定していくこととなります。

 

さらにそれらの販売戦略、商品戦略を実行するにあたって、プロジェクトを動かすヒト、つまり人材(人財)をどう配置するかという組織戦略や人事戦略までに深く突っ込んで取り組む訓練を受けているのです。

 

会社側としては、それら一連の戦略フローを策定、実行できるMBAホルダーを、高い給料を払うだけの価値のある人材してみているのです。

 

 

MBAを取得するメリット

では、具体的にMBAを取得するメリットを見てみましょう。

ゆび矢印キャリアの幅が広がる。
財務戦略、マーケティング戦略、経営戦略、人材戦略、などの一連の戦略を策定して実行する能力は、どこの業界のどの会社に行ったとしても必要な能力である事は間違いありません。

MBAを学ぶことによって、どの業界のどの会社でも通用するビジネス力を身につけることができるといえます。

 

ゆび矢印論理的思考を身に付けることができる。
MBAを通じて、物事を論理的に考える思考能力を身につけることができます。

複雑な問題解決能力や取引先との交渉力なども論理的に考え、解決する方法を見出す力を身に付けることができます。

 

ゆび矢印クラスメートとのネットワークの形成。
ビジネススクールで出会ったクラスメートとは、生涯にわたって強力なネットワークを形成することができます。

ビジネススクールに入学する学生たちは、野心に溢れ、起業家精神旺盛です。

そんな彼らがMBAを取得すると、各国の各業界で新しいキャリアをスタートさせることになります。年数が経つにつれて各業界での彼らのポジションが高まり、そんな彼らとのつながりは、世界レベルから見ても非常に強力なネットワークになるはずです。

 

■結論

結論として、MBA出願者の減少は費用対効果がないためではなく、MBAは社会が欲している人材を育成する学位であるといえます。

出願する側にとっても、費用対効果の観点からみてもすばらしい投資になる学位であるといえますし、MBAホルダーを雇う側にとっても、会社の成長に貢献してくれる素晴らしい人材を確保できる可能性が高いと言えるでしょう。